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施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その2 外部委託業者の権限等について―

2010/08/01
平成20年12月1日に質問状をT不動産業健康保険組合に送付

前記事例に関しては、平成20年6月分のレセプトに対して患者照会を行った結果、負傷箇所と施術部位に相違があるとして、平成20年11月27日に返戻になったことに対して質問状をT不動産業健康保険組合に送付。回答は平成20年12月19日にあった。質問と回答は次の通り。

質問1:今回の返戻についての差出人が「T不動産業健康保険組合(保険管理センター)」としてありますが、貴組合とはどのような関係なのか。

回答:当健康保険組合は保険給付適正化のため、厚生労働省通知に基づいて、療養費の支給を決定する際には、適宜患者等に施術の内容及び回数等を照会して、施術の事実確認を行い、療養費支給申請書の内容点検を行っています。当健康保険組合はこの業務の一部(内容点検、照会文書の発送・とりまとめ等)を外部に委託していますが、「保険管理センター」はその業務委託先です。

質問2:仮に「T不動産業健康保険組合(保険管理センター)」が外部業者である場合に、どのような法的根拠があり「調査・確認・審査内容」とあるような行為ができると考えられるのか。内部の部署であるならば、審査責任者又は担当者の氏名をご教示ください。

回答:1の回答で申し上げたように、〝「調査・確認・審査内容」とあるような行為〟を行っているのは当健康保険組合であって、保険管理センターは、〝外部業者〟として当健康保険組合の指揮・監督のもとに、その〝行為〟の一部を受託・実行しているものです。このような内容の外部委託を禁ずる法令・通達は無く、当健康保険組合は、健康保険法、柔道整復師療養費算定基準に基づき、上記のような形で療養費支給適正化の取り組みを行っております。

質問3:他の健康保険組合の一部では、責任の所在を明確にするために、担当者の氏名・受付又は審査印を押印の上、返戻しておりますが、なぜ貴組合は担当者印がないのか。

回答:「責任の所在を明確にする」につきましては、当健康保険組合は〝健康保険組合が組織全体として外部に対して責任を負うのであって、個々の職員が外部に対して直接責任を負うものではない〟と考えております。よって、担当者印を省略しています。以上 法令上、このような質問(支給申請書の返戻理由とは直接関係のない事柄に関する質問)に対して回答する義務はありませんので、貴会から再びこのような質問をされたとしても回答いたしませんので、ご承知おきください。今後、貴会が返戻の度にこのような質問状を発して健保組合に回答を求める行為を継続されるようでしたら、健康保険事業の円滑な運営を妨げる迷惑行為として監督官庁に報告し、善処かたを依頼したいと考えておりますので、この段お含みおきください。

 

平成21年4月28日、関東信越厚生局健康福祉部保険課社会保険監査指導官H氏から回答書
1.
T不動産業健康保険組合に確認したところ、当該健康保険組合が使用している柔道整復師あての返戻付箋に外部委託業者の電話番号等が記載されており、適切でないことから、「(保険管理センター)」の文言及び電話番号を削除するよう指導をしました。また、保険者又は保険者の職員に限り認められていると解せられる、法令上の権利・能力を含む問合せ対応については、健康保険組合で行うよう入念的に指導しました。なお、当該健康保険組合が使用している患者に対する調査書については、問合せ先として健康保険組合の明記がされており、特段の問題がないことを申し添えます。
2.
健康保険組合は保険者として、権限行使に対しては関係者に説明する責任があり、関係者からの質問に対し、理由なく拒絶することのないよう指導しました。
3.
周知内容については、誤解を与えることのないよう、正しく伝えることが重要であると考えます。なお、刑法の適用について、当方においては判断しかねます。以上